01.中東ドバイからテヘランへ
近代的なビルが立ち並ぶ同じ中東ドバイからテヘランを経て今回の旅が始まる。
歳月とともに美しさを増すペルシャ絨毯。ペルシャ絨毯は、言わば床の上の芸術品。踏まれることによって魅力が増す唯一無二の芸術と言える。 同時に生活品として人々との間に隔たりを設けず、機能性にも富んでいるのがペルシャ絨毯の愛される所以。イランが世界に誇るこの絨毯は、ペルシア王朝時代から織り継がれてきた、歴史の産物である。
近代的なビルが立ち並ぶ同じ中東ドバイからテヘランを経て今回の旅が始まる。
イランのクムの街へ一歩足を踏み入れると一瞬時が止まったかのような錯覚を覚えた。世界中が目まぐるしく変化していくこの時代に、まさに時を逆戻りしたかの様な光景だ。
悠久の至宝を生み出してきた文化がここにはある。そして、あらためてペルシャ絨毯の魅力に引きつけられるだろう。
全てはこのデザイン画からペルシャ絨毯がはじまる。クオリティを高めて表現される紋様は素晴らしく、アンティーク家具との親和性は言うまでもなく高い。
純白のシルクの糸を熟練した職人が染め上げる。表現したいデザインと品質を実現させるための重要な工程。
丁寧に染めあげられたシルクの糸。自然や人と共に、時の流れがもたらす糸の風合い。独特の色味はその土地で暮らす人々の優しさが感じられるよう。これだけでもインテリアとして成立しそうだ。
1本1本。紡ぐように織り込んでいく。180cm×180cmの絨毯が約3年の歳月をかけて織り込まれ、織り子は伝統の技術を身につける為6歳から織り込みを行う。手作業で一つずつ織り上げることできめ細やな模様を表現している。
“この伝統を意地でも守り抜き、変わらないこと”そんな努力を続ける彼らだからつくることができるのだろう。中東の大地にどこまでも広がる草原の真ん中で、粛々と、これからもペルシャ絨毯は生まれてくる。
クムを後にし、さらに移動してサナンダッジの中心部から車で2時間ほど走った。秘境の地、パランガン。
パタンパタンという音を辿ると、珍しい光景が。4月に刈り取った羊の毛を山間から湧き出る澄み切った水でたたきながら洗っている。
泥や埃を落とし天日で乾かし小屋で大切に保管。ここパランガンではこのような山間の集落が点在しており、隠れたペルシャ絨毯がつくられている。刈り取った羊毛から作られる絨毯は他国から安易に資源を買い集めることなく、自分たちの持つ豊富な自然を活かすことを大切にし1点1点織りあげている。
男性が羊や山羊を連れて遊牧に出かけている間、女性たちは村に残り羊の毛を紡いでいる。2500年前から伝わるダスリスと呼ばれる紡ぎ方。手でスピンをくるくる回し一本の糸を紡いでいく。
ここに住む人々はクルド族と呼ばれクルド族の人々がつくる糸はコルデッシュWOOLと呼ばれている。豊富な自然の中から紡ぎ出されたコルデッシュWOOLがクムやイスファンなどの高級絨毯に重用されているのも頷ける。
パランガンでも熟練した職人が天然の染料でじっくり染め上げる。
3人の織り子が息を合わせて丁寧に織り込んでいく。こちらの絨毯は3人ががりで完成まで2年数か月かかるというから驚きだ。
2500年前から受け継がれた伝統を守ること。自然の恵みの一部を使うこと。全て手作業で行うこと。これだけの手間をかけたペルシャ絨毯。だからこそ世界中で愛されるのだろう。
悠々と流れる時間の中で変わらぬ価値を持ち続けることの源は、我々には想像もつかないほど過酷とも言える。一つ一つの手作業によって支えられていることを知ってほしい。
織り上がるまで、その絨毯と同じ時を過ごし、一本一本手で結びながら織る姿は、まさに命を織り込んでいるかのようだ。
一度尋ねてみた。「何を考えながら織っているの?」と、その織り子は「この絨毯が100年後どうなっているかを考えながら織っています。」と答えてくれた。あの親子たちは今もなお織り続けている。美の頂点を手にすることが出来た者だけが味わえる喜びのために。
そして私たちはこれからもその織り子たちの願いを多くの人に伝えていきたい。あの親子たちのためにも。
歳月とともに美しさを増すペルシャ絨毯。ペルシャ絨毯は、言わば床の上の芸術品。踏まれることによって魅力が増す唯一無二の芸術と言える。同時に生活品として人々との間に隔たりを設けず、機能性にも富んでいるのがペルシャ絨毯の愛される所以。イランが世界に誇るこの絨毯は、ペルシア王朝時代から織り継がれてきた、歴史の産物である。
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